昨年12月、JR新宿駅構内で痴漢に間違われ、見知ら ぬ大学生から暴行を受けた男性が自殺した。母親は冤罪を訴え、新宿駅でビラ配りの活動をしているほか、独学でブログを開設し、目撃者などの情報を求めている。
痴漢と訴えられ暴行、警察の長時間事情聴取も
2009年10月から都内の私立大学職員となった男性は、同年12月10日の職場の懇親会の帰り、乗り換えのため新宿駅の15番・16番線ホームに向かう西口階段を上る途中、すれ違った女子大生に「腹部を触られた」と訴えられた。女子大生と同行していた男子大学生2人が男性を階段から突き落として暴行を加えたが、警察は男性に任意同行を求め、深夜に6時間近く事情聴取。男性は再度の事情聴取に応じるという確約書を書かされたうえで解放された。
しかし男性は家にも帰らず、その足でJR中央線で東京駅に向かい、そこから東京メトロ東西線に乗り換えて、卒業した早稲田大学のある早稲田駅へ。午前6時40分、早稲田駅で身を投じ、電車にはねられて死亡したという。警察は男性を被疑者死亡のまま送検。不起訴処分となった。
息子の無実信じ、母親の訴え
男性の母親は「痴漢冤罪」を確信し、息子の無念を晴らしたいと、新宿駅西口などで暴行の目撃者捜しのためのビラ配りを続けているほか、パソコンやインターネットを独学してブログを開設。男性の使っていた携帯電話を連絡先として公開し、情報提供を呼びかけている。
また、男性は資格取得のためにICレコーダーを持ち歩いており、交番や警察署での取り調べ中の状況が録音されていたという。母親は、警察の取調べ方法にも大きな問題があったと訴え、録音内容について詳述はできないとしつつも、男性が警察から先入観で一方的に取り調べられたと主張し、今後の状況をみての公開に含みを持たせている。
増える痴漢、冤罪トラブルも
近年、痴漢犯罪の増加に伴って痴漢冤罪トラブルが急増。実際に痴漢を受けた女性が、痴漢行為とは無関係の男性を告発してしまうケースだけでなく、示談金や嫌がらせなどを目的に痴漢行為を「でっち上げる」事件も報じられている。
これについては、「被害者の言い分だけが通り、被疑者の訴えにはまったく耳を貸さない」という捜査側の問題を指摘する声もあるが、もちろんこれは女性の訴えを信用すべきでないということにはならない。 「男性の痴漢冤罪」と「女性の痴漢被害」のどちらかを重視するような考えかたは誤りだ。痴漢被害も、冤罪被害も、同じ被害者。その両者を対立させる構図でことを収めてしまうのではなく、両者について最大限に配慮しながら真実を追究していく方法を考えていくことが求められている。
(参考URL)
目撃者を探しています!平成21年12月10日(木)午後11時頃新宿駅での出来事です。 http://harada1210.exblog.jp/■あなたにオススメの記事!